エッセンシャル思考

Author

gentam

Date
2018-03-07
Category

booknote

Tag

tips, life, productivity

Updated

2018-03-24

また図書館の返却キャッシュから.

Part 1 でエッセンシャル思考とは何かを説明し,それを正しく実行するための方法として

が説明される. この,「見極める → 捨てる → 仕組み化する」というサイクルによって,エッセンシャル 思考が目指す,"less but better" を実現できる.

この本では主に仕事とか生き方の文脈で,"do more with less" が語られているけど,こ れはテクノロジー面にも言える.より少ない時間,エネルギー,資源で,より多くを成し 遂げられるようになるという技術の進歩は,Buckminster Fulluer の思想の根本でもあり ,彼はこれを, Ephemeralization と名付けている. Buckminster Fuller の思想に ついてはまた時間を作ってノートにまとめたいけど,この話はこの本とは関係ない.

Contents

Update

(2018-03-24)

Farnam Street のポスト: Understanding Speed and Velocity: Saying “NO” to the Non-Essential

あらゆることに"Yes"と言う状態はスピードはあっても方向性が無いからどこへも到達し ない.これを物理の速さ(スカラー)と速度(ベクトル)に例えて,この本が言うエッセンシ ャル思考を説明している.

正直メモを作った「エッセンシャル思考」本よりも,このポストの文章の方がだいぶ "エ ッセンシャル" だと思ったので,時間が無い人はこっちだけ読めばいい気がする.

あとこの人(Shane Parrish)がやっているPodcastの The Knowledge Project もとてもおもしろい.(音質だけはち ょっと残念だけど)


Title

エッセンシャル思考

Author

Greg McKeown

Translator

高橋璃子

Published

2014-11-17

ISBN

978-4-7612-7043-8

URL

https://gregmckeown.com/book/

Read

2018-02-28

Part1: エッセンシャル思考とは何か

エッセンシャル思考とは,本当に重要なこと,本質的なことだけを見極めて,それ例外を 捨てることで,より少ない時間/エネルギーで,より良い結果を生み出すことができるよ うな行動を実現する考え方.

選択

挫折によって無気力に投げ出したり,大量の選択肢を前にして無条件に全てをこなそうと してしまい,何も達成できなくなる人がいる.

用意された選択肢から何を選び取るのかではなく,自分が能動的に選択できるし,するの だという意志が何よりも重要.

e.g. 選ぶ力を手放してしまう「学習性無力感」の実験:

犬に逃げることができる状態で電気ショックを与えると,それまでに電気ショックを抵抗 する術をなく与えられたグループの犬は逃げだそうとしなかった.一方で電気ショックを 止めることができたグループや,与えられなかったグループは自ら逃げだした.

ノイズ

大多数のものは重要ではないノイズだから,本当に重要な一部にフォーカスせよ.

e.g. 80:20の法則(パレートの法則):

あらゆる場面において重要な少数は,瑣末な多数にまさる

トレードオフ

何かを選ぶということは,何かを選ばないということであることを受け入れなければいけ ない.全部できるというのは幻想である.

e.g. サウスウェスト航空の成功:

格安航空であることを選んだので,機内食や座席指定を廃止して徹底的にコストダウンを 実現し,成功した.一方で従来路線を維持しつつ,サウスウェスト航空のやり方を真似し たコンチネンタル空港は大きく失敗した.

Part 2: 見極める技術

日々多くの情報や,依頼やチャンスが流れ込んでくる.しかし,その中から本当に重要な ものごとを見極めて集中しなければいけない.全てに取り組んでいたらどれも結果を出す ことはできないし,見極めなければ捨てることはできない.

しかしながら,エッセンシャル思考の人は,そうでない人よりもより多くの選択肢を検証 する.幅広い選択肢を前にして,基準を満たすものだけを実行する.

本質的なこと,取り組むに値することを見極めるために重要な要素は次のようなものがあ る.

孤独: 考えるためのスペースを作る

常にミーティングをしていたり,周りに人がいて中断が入る環境にいたり,あるいはメー ル/SNSによって,常に刺激を受けているような状態では深い思考に沈み込むことは難しい .時には自ら強制的な方法によって,そういった刺激を遮断し,ひとりの時間を作り出す ことが重要だ.

e.g. ビルゲイツは昔から定期的に,丸1週間の「考える週」をとっていて,じっくりとも のを考え,本を読むために使っている.

洞察: 情報の本質を掴み取る

物事には,表面上の事実(e.g. 誰がどこで何をした)と,それがどういう意味をもち,な ぜ重要なのかという本質が存在する.その核心を掴み取るには,常に目前のことにとらわ れているのではなく,大局観を持たなければいけない.また大量のノイズの中からシグナ ルを探し出すことができるように,情報を正しくフィルタリングすることに注意しなけれ ばいけない.それには以下のようなことが効果的である.

  • 日々の小さな違いには気がつきにくいから,日誌をつけて大きな流れを振り返る

  • 二次情報を元にしていると,本質的な問題を見失っているかもしれないから,現場に足 を運んで,自分の目で問題を見る

  • より大きな文脈の中から逸脱を探すために,知識をつけ「普通」を知る

  • 脇道にそれていってしまわないように,常に自分が取り組んでいる問題が何であるかを 明確にする

遊び: 内なる子供の声を聞く

精神は遊びを求めている. 遊びというのは,くだらない時間の無駄ではなく本質の探求に役立つ.それどころか,想 像力を発揮し創造する遊び自体がどこまでも本質的である.

また,遊びには,視野を広げて常識にとらわれない発想を可能にしたり,ストレスを軽減 してくれたり,脳の機能を活性化してくれたりする.良いことばかり.

睡眠: 1時間の眠りが数時間分の成果を生む

睡眠を軽視して良いことは1つもない. とにかくちゃんと寝ろ. 昼寝も良い.

選抜: もっとも厳しい基準で決める

「まあ,いいかな」というような基準では選ばない.最低限必要な条件,理想的な条件を 明確に定めたら,それを9割達成するような,「これしかない」と思えるような条件を満 たすときだけ選ぶようにする.

i.e. 「絶対にイェスと言い切れないなら,それはすなわちノーである」

Part 3: 捨てる技術

どうやって,多数の瑣末なことを切り捨て,重要なことだけに集中するか.

目標: 最終形を明確にする

目標は,完全に明確になっていなければいけない.それには,具体的かつ魅力的な「本質 目標」を決めることが必要だ.

魅力的なビジョン・ミッションがあっても,それが達成したか評価できないような抽象的 なものであったり,壮大だが実現方法が伴っていないものは,本質目標ではない. また,四半期売上目標のようなものは具体的だが魅力的ではない.

e.g. 本に載っていたわけではないが,SpaceX の,再利用可能なロケットの開発によって コストを下げ,人類を火星に住めるようにするなんていうのは具体的だし魅力的だし, 本質目標のお手本なのではと思った.

拒否: 断固として上手に断る

周囲に期待やプレッシャーを感じる中で,個人的としてより大切なこと優先して依頼や誘 いを拒否することはとても難しい.しかし,拒否ができなければ本質を見極められたとこ ろで意味がない. そこで拒否するときには以下のようなことを意識すると良いらしい:

  • 判断を人間関係から切り離す: 頼みを断ることは相手を拒絶することではない

  • 直接的ではない表現を使って,やんわりと断る

  • トレードオフに目を向ける: 引き受けることで自分は何を犠牲にするのか

  • 誰もが何かを売り込んでいるということを意識する

  • 好印象よりも敬意を目指す: なんでも引き受ければ,一時的には好印象を与えられるか もしれないが,自分がやるべきことに集中して良い結果を出さなければプロフェッショ ナルとしての敬意を得ることはできない

  • 曖昧なイエスは迷惑: できないならすぐに断った方が相手に失礼がない

e.g. こんな断り方ができる:

  • とりあえず黙る

  • 代替案を出す, 別の人を紹介する

  • 「予定を確認して折り返します」と言って間をおく

  • 自動返信メールを使う

  • 受ける代わりに,どれを後回しにするか聞く

  • 冗談めかす, 肯定を使って否定する

キャンセル: 過去の損失を切り捨てる

サンクコストバイアスは致命的な間違った判断につながる.ある物事に一定の時間やお金 を投資したあとは,それが失敗であると分かっても,それをやめない限りは損失ではない かのように感じて,やめられなくなる.それがさらなる投資へつながる悪循環.

また,所有しているものは,ただ所有しているという理由だけで価値を高く感じてしまう 「授かり効果」と呼ばれるバイアスもある.

これらのバイアスを回避して,うまく手放すためには以下のようなことが有用だ.

  • 持っていないふりをする: 「まだこれを持っていないとすれば,これを手に入れるため にいくら払うだろうか」「このチャンスがまだ手に入っていないとすれば,それを得る ためにどれだけコストを払おうだろうか」

  • 「もったいない」を克服する

  • 素直に失敗を認める

  • 第三者の意見を聞く

  • ゼロベースで考える: 現状維持バイアスを壊すために,既存のものを無視してゼロから 考え直す時間をとる

  • 「逆プロトタイプ」をしてみる: 簡単な形で撤退を試してみることで,本格的に撤退し て不都合があるかどうかを確かめてみる

編集: 余剰を削り,本質を取り出す

不要な細部は冷徹に切り捨てることで,より良いものを生み出すことができる. この編集の4原則は様々な場面に適応できる:

  1. 削除

  2. 凝縮

  3. 修正

  4. 抑制 (編集を最小限に抑える)

線引き: 境界を決めると自由になれる

「ここまではやるが,これ以上はやらない」,「自分のキャパシティはここまでである」 ,「この人たちには巻き込まれないようにする」など,あらかじめ境界線を作っておいて それを厳守する.また,その境界線をあらかじめ相手と共有しておくことで,拒否しなく て済むようにする.

このように自分の領域を明確にすると,その範囲内をより自由に使うことができるように もなる.

Part 4: しくみ化の技術

意志の力に頼って努力と根性でやり遂げようとするのではなくて,仕組み化することで自 動的にエッセンシャル思考を実現する方法.

バッファ: 最悪の自体を想定する

世界は予測不可能だから,最悪の自体を想定して準備をすること,不足の事態が起こった ときにも計画を実現できるだけの余裕を持っておくことが重要である.

e.g. イギリスは北海油田の発見によって,2500億ドル相当を手に入れたがそれを全て消 費してしまった.一方で,同様に油田の発見で大金を手に入れたノルウェーは基金を設立 して収入の半分を運用に回したことで,その価格は7200億ドル相当に達している.

バッファが無いと,何をするにもミスが許されず,常にストレスがかかる.このような状 態から抜け出すためには以下のような方法が有効だ:

  • 見積もりは1.5倍で考えること: e.g. 10分でできると予測したら15分を割りあてる.

  • シナリオプランニングでリスク管理を行う.次の質問に答えて5番を実行することがバ ッファとなる:

    1. このプロジェクトにはどんなリスクがあるか?

    2. 最悪の場合,どんなことになりうるか?

    3. 周囲の人への影響はどのようなものがあるか?

    4. そのリスクは自分にとってどの程度の経済的負担となるか?

    5. リスクを減らすためにどのような投資を行うべきか?

削減: 仕事を減らし成果を増やす

本当の問題(ボトルネック)を特定して,それを取り除くことに集中する.目の前の症状に 対して応急処置ばかりしていても仕事が増えるばかりで成果は増えない.

制約や障害を取り除くための3つのコツ:

  1. 目標を明確にする

  2. ボトルネックを特定する

  3. 邪魔なものを取り除く

前進: 小さな一歩を積み重ねる

非エッセンシャル思考の人は,何でも一度にやろうと頑張りすぎて,結局何もできないと いうことになりがちだ.一方,エッセンシャル思考の人は現実的に,小さな成功を積み重 ねる.

e.g. カナダリッチモンド市の警察:

ポジティブ・チケット(ささやかな善行に対して与えられ,引換券として無料で映画館 に入場できたりする)の実施を10年間続けたことによって青少年の再犯罪率が60%から8% へ激減した.

人のモチベーションに対して最も効果的なのは「前に進んでいる」という感覚らしい.よ って,「早く小さく」はじめて,進歩を目に見える形にしながら進んでいくのが良い.

習慣: 本質的な行動を無意識化する

火事場の馬鹿力に期待するのではなくて,正しい習慣を作り上げることで自然と物事を達 成できるようになる.

「フロー体験」の研究で知られるミハイ・チクセントミハイは,クリエイティブな人々が 実は厳格な習慣に従って行動していることを明らかにした. 習慣によっていったん脳に回路が作られると,その実行を集中力/判断力などの脳のリソ ースの消費なしに自動的にできるようになり,結果として本当に重要なことに集中できる ようになる.

しかし,悪い習慣を意識的に変えるのはとても難しい.そこで以下のような方法が有効で ある:

  • 行動を引き起こすトリガーを知る

    チャールズ・デュヒッグは,あらゆる習慣には,「トリガー」「行動」「報酬」の3 要素があると述べている.ここで,習慣的な行動を引き起こしているトリガーを見つ けて,それを別の報酬へと結びつけることが実際に行動を変えるために有効である.

  • 新しいトリガーを作る

    e.g. 日記をつけるという習慣を実現させるために,携帯を充電するという行動をト リガーとして,すぐ隣に置いた日記帳を手に取り2~3行だけ書くようにする.

  • 難しいことから手をつける

    個人差はあるだろうが,脳の集中力/判断力は1日の終わりに近くに連れてすり減ってい く.したがって最難関のタスクを最初に片付ける習慣を付けることでより多くを達成で きる.

集中: 「今,何が重要か」を考える

そもそも私たちには「今」しかない.それなのに記憶の中にある過去や想像の中の未来の にずっと気を取られながら生きているようなのはもったいない."今ここ"に置いて集中の 対象をひとつに決めて全力を注ぎ,それを楽しむことの積み重ねこそが最も本質的な生き 方なのではないか.

今に集中するためには次のような流れが有効だ:

  • 今重要なことは何かを考える

  • 頭の外に書き出す: やることを決めたらリスト化しておくことで,忘れる心配がなくな り今やっていることだけに集中で切る

  • 優先順位をつけて,順番にこなしていく

未来: エッセンシャル思考を生きる

自分の思考/行動の中心にエッセンシャル思考を据え,非エッセンシャルな部分をどんど ん減らしていくという風に考える.周囲に流されず,自分自身で選ぶということが重要.

本当に重要なこと以外は全部捨てて,よりシンプルに生きることでこそ,満たされた幸福 な人生を実現できる.

エッセンシャル思考のリーダーシップ

エッセンシャル思考は個人だけでなく,チームや企業にとっても重要である.

エッセンシャル思考のリーダは以下のような特徴を持つだろう:

  • 「より少なく,しかしより良く」という方針

  • 人材の選別にこだわり抜き,邪魔になる人材は排除する

  • 完全に明確な目標と戦略を設定する

  • 各メンバーの特性と目標にとって最良の配置を決める.曖昧な担当はない

  • しっかりと話を聞き,本質を見抜くコミニュケーションを行う

  • 進捗を適切にチェックする (首を突っ込みすぎないし,放置もしない)